皆さんは、入れ歯を使っている方が「食べにくい」と感じる食べ物をご存じですか?
一見、やわらかそうに見えるものでも、実は入れ歯には不向きな食べ物があります。
入れ歯で食べにくい食べ物とその理由を落合歯科医院トリートメントコーディネーターの川村がご説明します。
若い頃は何でも食べられていたのに、年齢を重ねると少しずつ硬いものや弾力のあるものが食べにくくなってくる方が増えてきます。全国で「お年寄りが最も噛みにくい食べ物は何か?」というアンケートが行われたのですが、その結果 はなんだったと思いますか❓
1位は「するめ」でした。
するめは弾力があり、よく噛まないと飲み込めません。そのため、60歳代で3人に1人、80歳代ではほとんどの方が食べられなくなってしまうそうです。
「やっぱり年を取ると噛めなくなるのね…」と考えてしまいがちですが、実は年齢そのものよりも 歯が何本残っているか が大きなポイントなのです。
8020(ハチマルニイマル)運動って?
ここで皆さんにぜひ知っていただきたいのが、8020(ハチマルニイマル)運動です。
これは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という活動で、日本全国で推進されています。
歯が20本残っていれば、ほとんどの食べ物を噛み砕くことができると言われています。
逆に歯が少なくなってしまうと、食べたい物を我慢したり、やわらかい物ばかりを選んだりする生活になってしまうのです。
8020運動のきっかけになった食べ物をご存じでしょうか?
実は「酢ダコ」なんです。酢ダコは歯ごたえがあり、20本以上の歯がなければしっかり噛んで食べることができません。
この「酢ダコが食べられるかどうか」ということから、歯を守る大切さに注目が集まり、8020運動が始まりました。
お年寄りの好きな食べ物ランキングと噛みにくい食べ物ランキング
アンケートでは、「好きな食べ物ベスト5」として
1位:刺身・寿司
2位:煮魚
3位:焼き魚
4位:肉
5位:たまご
といった結果が出ています。どれも日本人に馴染み深い美味しいものばかりですね。
一方で、「好きだけれど食べにくい食べ物ベスト5」には
1位:するめ
2位:肉
3位:豆
4位:せんべい
5位:りんご
が挙げられています。
やはり硬さや弾力のある食べ物が上位に並びます。
この結果からもわかるように、「好きだからこそ食べたいけれど、歯や噛む力が弱くなってしまって食べられない」という現実に直面している方が多いのです。
では、入れ歯利用者にとって食べにくいのはどの食べ物でしょう❓
実はこれら 全部が「食べにくい」 とされているのです。
りんごは丸かじりをすると入れ歯が外れやすくなりますし、もちやガムはくっついてしまうので非常に大変です。
巻きずしは具材や海苔が噛み切りにくく、ビスケットやクラッカーはボロボロと砕けて入れ歯の内側に入り込んでしまいます。
「食べにくい」には理由がある🧐
入れ歯を使っている方の中には、
「食べ物が口の中に入り込むのが嫌だ」
「うまく噛み切れない」
「噛んでいると入れ歯が動いてしまう」
といった不快感を抱える方が少なくありません。
たとえば、ゴマやイチジクなどの小さな種は入れ歯のすき間に入り込みやすいですし、煎餅など硬い食べ物は噛むと痛みを感じることもあります。
また、入れ歯は天然の歯と比べて噛む力がどうしても弱くなるため、豆腐のようにやわらかいものでも「味わって噛む」という実感が薄いという声もあります。
このように入れ歯にはどうしても限界があります。
もちろん、今の入れ歯は昔に比べてとても精密で快適になっていますが、やはり 自分の歯に勝るものはありません。
しっかり噛んで食事を楽しむためには、できるだけ多くの歯を残すことが大切です。
歯が残っていることが健康寿命を延ばす!
実は歯を守ることは、単に食べ物を楽しむためだけではありません。
よく噛んで食べられることは、次のような全身の健康にもつながります。
- 栄養のバランスが保てる
→ 歯がなければやわらかい炭水化物中心の食事になりがちですが、しっかり噛めると野菜や肉、魚など幅広い食品を摂取できます。 - 脳が活性化する
→ 噛む刺激は脳に伝わり、認知症の予防にもつながると考えられています。 - 姿勢や健康につながる→噛み合わせは全身の筋肉や姿勢にも影響を与えるため、歯を守ることは体全体の健康に直結します。
入れ歯やインプラントもサポートになりますが…
もちろん歯を失ってしまった場合でも、入れ歯やインプラントなどの治療によって噛む機能を回復することは可能です。
しかし、自分の歯に勝るものはありません。歯は一度失うと二度と元には戻りませんので、できる限り自分の歯を長持ちさせることが大切です。
「歯を残すこと」がいちばん大切‼️🦷
歯を失わないようにするためには、次のような習慣が欠かせません。
⭐︎今日からできる歯を守る習慣⭐︎
では、歯を20本以上残すためにはどうすれば良いでしょうか?
- 毎日の歯みがきをていねいに行う(フロス・歯間ブラシも活用)
- 定期検診・クリーニングで虫歯や歯周病を早期発見
- よく噛んで食べる習慣を意識する
- バランスの良い食生活で歯と体を健康に保つ
- 間食や糖分の取りすぎに注意する
まとめ
「年をとると噛めなくなる」というのは自然のことのように思えますが、実は 残っている歯の本数 が大きく関係しています。
8020運動を意識して、自分の歯をできる限り長く保つことができれば、好きな物をずっと美味しく食べ続けられるだけでなく、健康で充実した人生にもつながります。
皆さんもぜひ、「なんでも噛めるお口」を目指して、毎日のケアと定期検診を大切にしてくださいね😊🪥
私たち落合歯科医院では、入れ歯の調整やケアはもちろん、「できるだけ自分の歯を残す」ための予防にも力を入れています。
「年をとると噛めなくなる」のは仕方のないことではなく、日頃のケア次第で変わる部分が大きいのです。
入れ歯を使っている方へ
もし入れ歯をお使いの場合でも、「食べにくいから仕方ない」と諦める必要はありません。
噛みにくい食べ物を少し工夫することで、負担を減らすことができます。
- りんご → 薄くスライスしてから食べる
- もち → 小さく切って喉に詰まらないよう注意
- 巻きずし → 細巻きにする、やわらかい具材を選ぶ
- ビスケット → 飲み物と一緒に摂る
さらに、入れ歯自体も定期的に調整することでフィット感が改善し、噛みやすさが変わってきます。
入れ歯をお使いの方はもちろん、今はまだ歯がしっかり残っている方も、将来の食生活を考えて定期的に歯科医院を受診してください。
好きな食べ物をいつまでも美味しく楽しめることこそ、健康で豊かな人生につながります。